かって日本は「世界で一番安全な国」と言われていました。

近頃、学校や職場・地域の中で、犯罪被害の話を聞く事が増えてはいませんか?
「空き巣狙いに入られた」
「車上狙いにやられた」
「バッグをひったくられた」等々…
かっては、犯罪にあうのは「まさか」の出来事でした。残念ながら今では『いま、そこにある危機』として、誰でもが巻き込まれかねない状況が続いています。また、「都会はコワイけれど、田舎なら安全だよね」とも言えません。
犯罪の発生状況を見ると、大都市のみならず地方にまで及び、凶悪犯罪が増加しているのですから。『水と安全はタダ』と言われた日本はもう決して安全な国ではなく、いつ我が身に降りかかるか解らない時代になってきました。自分だけは犯罪に巻き込まれない…と思い込んでいませんか?
特に目立って増加している犯罪は、侵入盗・自動車盗・ひったくり及びスリなどの重要窃盗犯と言われるものですが、特に怖いのが「生活の根拠地」である住まいへの「住宅侵入犯」の増加です。どこか危険な場所に出入りしたわけでもない、一番安全であるべき「自分のうち」「家庭」が犯罪の舞台になるのは恐ろしい事ではないでしょうか。
侵入犯が強盗傷害・殺人に発展する例も少なくありません。凶悪犯罪の多くが、住宅への不法侵入から発生しているのです。
「ちゃんと鍵をかけているから、うちは大丈夫」
「うちは現金を置かないから」
「お金持ちじゃないから大丈夫」
というのは最早根拠のない安心としか言いようがありません。ある研究機関の調査によれば、犯罪に不安を感じる人の割合は平成9年から14年までの間に26パーセントから41パーセントに上昇しました。また、内閣府の調査によれば今後良くなってほしい生活環境として、大都市及び中都市では治安のよさを回答した者が医療・福祉を答えた人に次いで多かったという結果が出ています。
なぜ日本人は危機意識を持つ事が育たなかったのでしょうか。

私たち日本人は、安全に対して楽観視しすぎるきらいがあるようです。四方を海に囲まれた島国という立地に恵まれた事が幸いして、殆ど外敵(異民族)の侵入を受ける
事がなかった国は、世界的に見ても例がないほどです。
周囲のものは皆、同じ民族で同じ言葉を話し同じような考え方をして…という農耕「ムラ」社会の中、住民同士が互いに見張りあい助け合ってきました。(もっとも、そのぶん、閉鎖的で異民族との折衝のヘタな国民性が培われてしまったというマイナスもありましたが。)
そんなムラ社会の中では、個性の尊重よりは協調性と『和』の精神が求められたので、当然犯罪も少なく、危機意識を持つ必要性も無かったのでしょう。お互いに信頼の絆を繋ぎあって安全な環境を作ってきたのですから。
また、ごく普通の人々が武器を持って闘うという習慣は殆どありませんでした。特に、戦国時代終わり、秀吉の刀狩り以来は尚更で、約270年続いた江戸時代に至っては、武士階級でさえも闘う必要性はなかったのですから、「自分の身は自分で守る」(セルフディフェンス)という自己防衛の考えが身につかなかったのかもしれません。
そして、そのことが安全の過信につながっているのかもしれません。
また、『水に流す』ことを美徳と考える国民性でもあり、嫌な事や悲劇的な事はすみやかに忘れ去ろうとする傾向があります。こういう考え方は、一面プラスとも言えるのですが、反面では、マイナスに作用します。危機管理能力とは、過去の経験を積み重ねたうえで、さらに将来もしも又同じような事件が起こったら…と想定して準備しないと育たないからです。
しかし、これほどまでに社会のグローバル化と社会全体の変化が進むと、個人レベルでの危機管理と自己防衛が必至の時代になってきたと言わざるを得ません。
社会のグローバル化・少年犯罪の増加・先の見えない不況の中で…

犯罪増加原因の一つとしてよく言われることに、私たちの生活が昔と比べて変化したという事が挙げられます。塾に通う子どもたちが夜遅くまで道を歩いていたり、女性も夜遅くまで働く事が珍しくはありません。社会全体が24時間化し流動化している分、かってなら安全と思われた所で思わぬ犯罪が発生しやすくなったという事です。
また、社会のグローバル化の結果として、不法滞在の外国人による犯罪の増加を生み出しました。特に侵入盗に目立っており、昔の日本の「空き巣」や「コソ泥」と違い、目的のためなら手段を選ばずという荒っぽい手口で凶暴化した事件が増えています。平和で安全な状況に慣れ過ぎて、もともと危機意識の少ない無防備極まる国民性は、特に海外からの犯罪者集団から見れば、楽に『仕事』のできるオイシイ国と思われているのかもしれません。
また、戦後第四のピークといわれる未成年(少年)による犯罪の増加も目立っています。家庭の崩壊による教育力の低下、社会全体の道徳力のゆるみ、伝統文化の持つ犯罪抑止力(世間体・恥の意識等の喪失)などが原因に挙げられていますが、アルコールや薬物乱用による検挙数も増えており、その薬理作用から精神障害に陥り、犯罪を引き起こす事に結びついてしまう…と言われています。この問題は、少年法の改正も含めてまだ有効な手段は取られてはいないのが現状です。
犯罪の「質」が昔とは変わってきた…と感じてはいませんか?
マスメディアで報道される所謂凶悪犯罪を見ていると、犯人の理由・動機が解らないという識者のコメントをよく耳にしませんか?余りにも簡単に人を殺してしまう事件が非常に増えているのですが、その因果関係が全く見えない事件が多すぎませんか。殺人事件は(数は少なくとも)過去どんな時代にでもありましたが、その動機がもっとシンプルで解り易かったはず!
また、犯人側の動機を聞けば、そんな事情があるならば…と思わず同情したくなるケースもありましたから。少なくとも、「人を殺す体験がしたかった」から殺すのは文学作品の中だけだったし、強盗に押し入っても無事に金品を奪って目的を達すれば、家族全員皆殺し迄にはされなかった…。
理由もなく小学校に押し入って、全く自分とは無関係の子どもたちを殺す事件などは想像もできなかったはずです。けれども、起きてしまった…。今後は起きないという保証は全くありません。逆に、誘発されて増加する可能性を考えて対応策を考えておくほうが正しいのかもしれません。
個人の持つマイナスのエネルギーが、無関係の弱者に向かう事件があとをたたない昨今、いつ何時、自分が巻き込まれないとは限らない…。既に時代はそこまで来ています。
日本の警察は世界一優秀である、と言われた時代もありました。

検挙率とは、年間の検挙件数を発生件数で割った数字の事です。わが国では90年代半ばから犯罪が増加し続け、平成10年には警察が認知した刑法犯が初めて
200万件を突破、以降平成13年は273万5612件、平成14年285万3739件と、過去最悪を7年連続で更新しました。
ところが、その一方で検挙率は平成9年には全体で40%だったのが、平成13年には19.8%、翌年の14年には20.8%と著しく低下しています。刑法犯の中で最も多く、私たちが遭遇しやすいのは窃盗犯ですが、この中の「侵入盗」の検挙率も平成8年の段階では77.9%だったのに、平成13年には何と29.5%という急落ぶり…。(但し、平成18年度以降やや上昇の兆しあり)
社会生活の変化と発達、グローバル化、インフラの整備やIT化は私たちに便利さをもたらしましたが、その反面、従来では考えられない匿名性の高い知能犯罪(振込め詐欺等)、サイバー犯罪等が新たに生み出され、犯罪の広域化や手口の凶悪化・多様化とあいまって、これまでの警察人員と方法論では対応しきれなくなってしまったのです。
防犯装備士って、どんな資格でしょうか?
防犯装備士(ぼうはんそうびし)とは、NPO法人日本防犯装備協会が次の三点を習得して「防犯活動・地域安全活動」に貢献できるように設けられた資格です。
・防犯に関する知識を学ぶ
・防犯装備品(防犯グッズ)の機能をよく知る
・防犯装備品(防犯グッズ)の威力をよく知る
これまでの防犯スタイルや単なる防犯上の知識を身に付けるだけではなく、防犯装備品(防犯グッズ)を使用することによる自己防衛(護身)を推奨しています。警備業に携わる人や防犯グッズ販売店のスタッフだけではなく、見知らぬ人を乗せるタクシードライバー・老人ホームの職員・錠前師&鍵師・保育士・教員など、職業的に防犯知識が重要と思われる方々、また地域の防犯活動に従事している人や防犯ボランティアなどには、もってこいの資格といえるでしょう。
なお、防犯装備品(防犯グッズ)とは、防犯スプレー(催涙スプレー)・警戒棒(警棒)・スタンガン等を指し、従来の防犯ブザーのようなグッズよりも護身性の高いものが選ばれています。
資格取得のためには、養成講習(1日間)を受講し、終了後に資格認定試験を受験します。試験は、防犯装備に関する基礎的な知識・技術の2科目60分間の筆記試験で、合格基準は2科目ともに75%以上正解したものとなっています。今年度より、講習を終了しなくとも認定試験の受験が可能になりました。また、試験で不合格だった人は1回に限り再試を受験できます。
NPO法人日本防犯装備協会
防犯装備士資格:講座カリキュラム、受講・受験に関する諸注意その他
◆講習のカリキュラム ◆
(1)防犯基礎
※防犯装備の定義・緊急避難・正当防衛含め関係法規
防犯装備品・ホームセキュリティの現状について
(2)鍵や錠前に関する知識
(3)警戒棒に関する知識の習得
(4)催涙ガスに関する知識の習得
(5)スタンガンに関する知識の習得
1コマは50分間で(1)~(5)まで1日かけて講習があります。講座終了後は1時間の休憩があり、そのあと資格認定試験が行われます。
◆講習受講・資格認定試験受験における欠格事項◆
下記に該当する人は、講習受講も認定試験も受けられません。
①18歳未満
②成年被後見人・被保佐人
※成年被後見人⇒精神上の障害で、常に物事の判断ができない状況にあり、裁判所から
後見開始の審判を受けた人。成年後見制度を導入する前の「禁治産者」のことです。
※被保佐人⇒精神上の障害で、物事の判断が充分にできないと、裁判所から、保佐開始
の審判を受けた人。かっての「準禁治産者」に当たります。ただ、「準禁治産者」とは
違い、浪費は原因とされていません。
※成年後見制度⇒平成12年4月、旧来の禁治産・準禁治産制度に代わり設けられた制度。
③精神病・アルコール・麻薬・大麻・覚せい剤などの中毒者
④禁固刑以上の刑に処せられ、その執行後3年に達しない者
⑤犯罪の知識を習得することを目的とする者
⑥協会の指定する必要書類を提出出来ない者
※必要書類⇒・住民票(本籍地記載のもの)1枚
・写真(3×2.4cm) 3枚
・協会指定の自己申告・宣誓書(犯罪の知識を習得する目的でないという宣誓書)
・公的機関の発行する顔写真入り証明書のコピー 1枚
(但し、講習時には必ず原本持参、確認後返却)
・受講申込書 1枚
◆試験日と合格発表◆
(1)試験日 :協会の指定する日(年2回)
(2)会場 :協会の指定する会場
(3)合格発表:試験後3週間以内に郵便にて各自へ連絡
(4)再試 :試験での不合格者は1回に限り再試を受験できる(受験料無料)
◆費用◆
(1)講習受講料 :25,000円
(2)資格認定試験受験料: 4,000円
(3)資格証発行・登録料: 8,000円
※但し、講習受講料の5%は(財)犯罪被害救援基金に寄付されます。
関係法規を学ぶ…軽犯罪法

おそらくは多くの方々が耳にした事がある軽犯罪法。読んで字のごとく「軽い犯罪」なんですが、罪として定められる行為が33項目あります。防犯装備品を持つためには次の2項目に留意する必要があります。
・相当の注意をしないで、他人の身体又は物件に害を及ぼす虞のある場所に物を投げ、注ぎ、又は発射した者
・正当な理由がなくて刃物、鉄棒その他人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者
※刃渡り15cm以上の刀(日本刀など)・剣等(両刃の刃物など)は銃砲刀剣類所持等取締法銃刀法(通称・銃刀法)第3条により所持が禁止されており、刃体の長さが6cmを超える刃物 (カッターナイフなど)は同法22条により携帯が禁止されています。
つまり、軽犯罪法を厳密に適用すると、カッターナイフでさえ『人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具』と看做されるわけですね。鞄の中にカッターナイフをペンケースに入れて持ち歩いている人は『隠して携帯していた者』と解釈されるわけですが!そんな馬鹿なぁ~!
しかし、ご安心ください。軽犯罪法には「むやみに濫用してはならない」という規定があります。また、その罰則は犯罪歴にはならない「科料・拘留」、つまり道路交通法違反以下の処分と考えてください。
ただ、そのときの状況によっては、例えば近所で強盗事件が発生した直後に警戒棒などを持ち歩いていたりすると、職務質問されたときなどは没収される可能性があります。警棒は、警官が常時携帯しているように、かなり攻撃力と相手の行動を抑止する力がありますので、注意が必要です。また、車に載せていても「持ち歩く」に該当すると判断される事もあるようです。ただ、自宅に置いておく分には全く問題ないようです。
また、スタンガンや催涙スプレーも「正当な理由の無い所持」は軽犯罪法の対象になる場合もあるので、「いざというときに、自分の身を守るため」と強く主張する必要があるでしょう。持ち歩くにしても、なるべく目立たないように携帯したほうが良いようです。
関係法規を学ぶ…正当防衛・過剰防衛
法律用語としての正当防衛とは、自分に何らかの危害が加えられた場合に、身を守るため反撃する行為のことを言います。ただし、反撃行為に出ても良いのは次の点が必要とされます。
・急迫の侵害
・不正な侵害
・自己または他人の権利防衛のため
・やむを得ずにした行為
具体的に説明すると、マスコミで報道され関心を集めた『西船橋事件』というのがあります。
夜遅く、A子さんという女性が駅のホームで電車を待っていたところ、通りがかった男性B氏がA子さんにからみはじめました。B氏は酔っていて、A子さんが嫌がるにもかかわらず執拗にまとわり続けましたが、周囲の人は見ているだけで誰も助けてはくれません。そのうちB氏は「この馬鹿女」とののしり、A子さんの胸から首筋辺りをつかみ始めました。たまりかねたA子さんは「あんたなんか死んでしまえばいい!」と叫び、B氏の身体を突き飛ばしました。酔っていて足元がふらついていたB氏はホームから転落、そこへ運悪く電車が来たために、ホームとの間に挟まれて死亡してしまいました。
この場合、A子さんは自衛しようとして相手を突き飛ばしたのですが、その結果としてB氏は死亡。ただ単に突き飛ばされて尻餅をついたくらいでは問題にはならなかったのですが、結果が余りにも重大であったため、正当防衛の範囲を逸脱するのではないかという解釈もありました。しかし、判例や学説の多くは、防衛行為によって生じた結果がたまたま重大なものであったとしても、正当防衛は成立しないと考えてはいません。
このケースでは、周囲の人も誰も助けてくれない中で、A子さんが相手を突き飛ばすという行為は「相当な」ものであり、結果たまたまB氏が死亡という重大な結果になったとしても、正当防衛は否定されないと考えるのが主流になっています。A子さんは判決で無罪になりました。
上のA子さんの場合は、素手の相手に素手で防衛していますが、例えば、素手の相手に日本刀など刃物をもって自衛したりするような場合は、判例では「武器対等の原則」という基準により、相当性が判断されます。つまり、素手に対して素手で反撃するならば相当な防衛行為であるが、素手の攻撃に対して刃物で反撃するのは相当な範囲を逸脱した行為であり、過剰防衛と判断されることになるわけです。また、素手同士であっても、相手が空手など格闘技の有段者である場合は武器が対等ではないとされています。
けれども、この原則を杓子定規にあてはめると不都合なことも出てきます。例えば、素手の攻撃に対して日本刀を振りかざしたが、別に切り付けるつもりではなく、あくまで相手を威嚇して攻撃性を奪いたい場合や、また、縄でしばって攻撃できないようにする場合など…。
また、力の弱い女性が屈強な男性に襲われたときなど、素手による反撃しか許さないというのは極めて不都合な事になってしまいます。相手が複数ならばどうするのでしょうか?
判例としては、原則を形式的に適用するのではなく、当事者の体格や年齢、防御的行為に終始していたかといった事を踏まえた上で、判断をしているようです。
防犯グッズはあくまでも「防御」のために利用するという姿勢が極めて重要になるので注意!!
関係法規を学ぶ…緊急避難
松本清張の有名な短編に『カルネアデスの舟板』という作品があります。緊急避難(刑法上の)をテーマとした作品として知られているのですが、この「カルネアデスの
舟板」というのは、古代ギリシアの哲学者カルネアデスが命題として出した問題で、次のような内容です。
船が難破し、乗組員は全員海に投げ出された。ある男が、かろうじて流れてきた一片の板切れにつかまったが、そこへもう一人、同じ板につかまろうとする者が現れた。しかし、この板は小さく、二人なら沈んでしまう位の大きさである。板が沈んでしまうと考えたその男は、後から来た者を突き飛ばして、溺れさせてしまった。その後、この男は助けられたが、人を突き飛ばして溺れさせた事は果たして罪になるのか?
結論的に言うと、この男は無罪と判断されました。通常ならば殺人の罪を犯したとして罰せられるでしょう。しかし、この場合は、自分の生命(身体)が危険に晒されており、その危機を回避する手段が他にはありません。そのため、やむを得ずした行為なのです。そして、相手を死なせてしまったことによって生じる損害と自分の生命とは、ほぼ同等(もしくは小さい)であるので、緊急避難であるとして犯罪にはならないのです。
もう一つ例を挙げると、例えばプールで溺れた人を助け、息をしていないようなので必死に人工呼吸をしたとしましょう。一生懸命にやったおかげで溺れた人は息を吹き返しました。ところが、人工呼吸の際に力を入れたせいか、この人の肋骨を2本折ってしまいました。通常ならば、過失傷害罪になるのでしょうが、この場合は罪にはなりません。生命が危険に晒されて一刻を争う状況なので、そのためにした行為だからです。
これらの行為は、本来ならば法的責任を問われるところですが、一定の条件の下にその罪が問われないことを緊急避難といいます。法的な概念としては、正当防衛に似ています。どちらも本来なら処罰される行為でも、一定の然るべき理由があるとき、例外として刑事責任を問われないという点です。ただし、異なる点もあります。本当にそれしか手段がなかったのか?という事がまず問われ、一般的には、緊急避難の方が正当防衛よりも成立するための要件が厳しいとされています。
鍵や錠前に関する知識 …「鍵」と「錠」について

「鍵」は私たちの日常生活の中で、毎日のように使用されている身近なアイテムです。(ごく小さな子どもは別にしても)外出時のバッグや鞄の中に鍵を持たない人は殆どいないのではないでしょうか。余りにも日常的なので、特に意識せずに使用している物の一つと言えるでしょう。ただ、近頃では防犯意識の高まりにつれて鍵に対する意識も随分と高くなってきました。
私たちは何気なく「玄関のカギ」とか「車のキィ」と呼んではいますが、実は二通りの意味があります。例えば、「玄関のカギ」というのは、持ち歩いている「鍵(KEY)」と玄関ドアに付いている「錠(LOCK)」と実は2つあるわけですね。どちらも無意識に「カギ」と呼んでいますが、以下のように定義づけされます。
・錠・ロック(LOCK)
扉や機器に取付けられ、実際に締りをする機能(締り機構)と、利用者にその資格があるか否か、 を判断する機構(施解錠機構、鎖錠機構)を両方備えている機器。
・鍵・キー(KEY)
錠にその錠を操作する資格があることを伝え、錠の締り機構を操作するツール。
いま私たちの周囲には数多くの錠が存在しています。一番よく知られているシリンダー錠、カード方式の錠、暗証番号で開けるテンキー錠、また最近では指紋や静脈を識別する生体認証方式の錠など、防犯性の高い錠も増えてきました。住まいの防犯は、まず玄関の鍵から始まりますが、その錠の一般的な種類は下記になります。
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円筒錠(本来は室内用)
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ノブに鍵穴があり内側からはボタンを押して施錠するタイプ。壊れやすく、ノブごともぎ取られたり、こじ開けられたりする
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インテグタル錠(本来は室内用)
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ノブに鍵穴があり、カンヌキがあるタイプ。ノブごともぎ取られる可能性がある。
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彫り込み錠
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箱型の錠ケースをドア材の中に埋め込むタイプ。防犯性は高い。
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面付け箱錠
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ドアの室内側に錠ケースを取り付けるタイプ。こじ開けに強い。 |
| CP錠、CP-C錠
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(財)全国防犯協会連合会が運用する型式認定制度で防犯性が高いと認められた錠 認定番号と青いCPマーク、赤いCP-Cマークが目印になる
※CP⇒防犯を意味するcrime preventionの頭文字。CP-CのCはシリンダーを意味し玄関錠のシリンダー部分の交換用に作られている
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鍵や錠前に関する知識 …開錠手口について
侵入犯の開錠テクニックも、日々変化向上しているので、私たちはまず相手の手口を知る必要があります。多発しているピッキング被害は都市部から地方へと広がりを見せていますが、その他にも次のような開錠手口があります。
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ピッキング
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耳かき状の特殊な工具を鍵穴に入れて解錠、都市部の集合住宅から被害が始まり、知られるようになった。防犯性の低いディスクシリンダー錠などは10数秒で開ける事ができる。ただ、いまだに開錠手口というとコレだけと思い込んでいる人が多いので注意!
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サムターン回し
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ドアの隙間やドリルで開けた穴などから工具を差し込み、ドアの内側から錠を開閉するつまみ(サムターン)を動かして開ける。『サムターンカバー』をつけて防止できる。
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カム送り解錠
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平成14年に、新たな錠開けの手口として浮上してきました。鍵穴を通さずに錠のケースの隙間 から特殊な工具を差し込んで解錠する新手の方法で、別名バイパス開錠。ドアにほとんどキズが 残らないことが多く、盗難被害にあっても気づかず繰り返し侵入の恐れもある。
この方法で開錠される恐れのあるものは、鍵穴のあるシリンダーがドアから数cm突き出ている 型のもので、笠の部分(シリンダーカラー)を引っ張るとドアの間にわずかな隙間ができるので、 その隙間に極細の針金をねじ込み、内部のカム部分を操作して簡単に開錠。現在は販売中止。 自宅のカギを点検し対応策をとる必要があり、防犯アラームなど防犯器具の積極的な設置を。
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ドア錠破り
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扉やドアの隙間をバール等で開いてドア錠を破壊。ドアの隙間にガードブレードをつけて防止。
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ガラス破り
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窓ガラスを割り、破れ目から手を入れて錠をあけて侵入。ガラスに防犯フイルムを貼ったり、防犯ガラスへの取替えや面格子の設置をして防止。
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≪参考≫
不法外国人グループによるピッキング窃盗犯の行動例を挙げておきます。窃盗ビジネスとして結束も固く、今後も要注意。
(1)訓練&研修 専門の指導者についたりしてピッキング技術を習得
(2)役割分担 下見・運転・見張り・開錠・盗み出し・売却
(3)下見 人の出入り・不在時間・家族構成・生活パターン・逃げ道
(4)あたり 留守確認
(5)盗み出し実行 現金・カード・身分証明書・通帳・印鑑・貴金属・電化製品等
(6)盗品処分 故買屋・国内国際ルート・地下銀行等
防犯装備品の定義
一般的に、防犯機器は防犯設備と防犯装備に分けられています。防犯設備は主として、防犯カメラや防犯灯、磁気スイッチ音響センサー等を利用したホームセキュリティなど固定の装置を指し、防犯装備品(防犯グッズ)は、個人が所持・携帯する防犯用品(道具)を指しています。
これらは、個人が犯罪からの難を逃れるために利用する道具で、持ち歩くことを前提としているので、動力を必要とせず乾電池や充電池などで駆動します。
この中には、一種の武器とみなされるものもあるため、何でも持ち歩けばより安全というわけではなく、トラブルを避ける上では、最低限必要な範囲で携帯する事が求められます。種類としては、非殺傷性ではあっても攻撃的な手段と言える催涙スプレーやスタンガン、また受身ではあるが防御力を向上させる防弾・チョッキや盾といった防具、また警笛や防犯ブザーのように周囲に助けを求めるための道具、カラーボールのよう相手に投げつけ、逃走する犯人に目印をつけ追跡を助ける道具などがあります。
また、いざ!という時に持ち出して利用する刺又のような道具、パンフレットスタンドに擬装した盾などもあり、突然押し入ってきた変質者・不審者による暴力から身を守るため、学校施設・公共施設などに配置されるようになりました。
主な防犯装備品…催涙スプレー
暴漢などの顔面に催涙ガスを噴射し、相手がひるんだ隙に避難するための防犯グッズ。
市販されている催涙スプレーは、クロロアセトフェノン(CNガス)・クロロベンジリデンマロノニトリル(CSガス)・トウガラシスプレー(OCガス)のどれかが主成分で(一部に複合モデルもあり)特にOCガスは麻薬中毒患者や泥酔者にも効果があり、クマ等の野生動物撃退用の物も販売されています。護身グッズなので、一般の防犯具を扱う商店や通信販売等で入手可能で、クマ除けの物は(ベアー・スプレー)アウトドアショップ等でも購入できます。
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【大きさ】
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ライター位から、小型消火器ほどの大きさの物までがある。形も、スプレー缶型以外に、拳銃型や警棒型などがあります。容易に扱える事や、取り出した際にガスの噴射口が自分の方を向くのを防ぐため、また見た目による威嚇効果を期待するために拳銃型や警棒型が作られているのでしょう。
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【使用可能時間】
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小型でも5~10秒程度の連続噴射が可能。至近距離から狙えば0.5~1秒程度でも激しい咳と鼻水が出て、殴られたようなショックと激痛が走る。十数分は行動困難な状態になる。暴漢1~2人程度なら、小型の製品で充分に対応できる可能。
行きずりの犯行などのケースでは、その程度の反撃でも充分に相手を威嚇できる可能性が高いと言われています。そうすれば、逃げる時間が出来ます。噴射効果は30~40分程持続するが、完全に元に戻るには数時間ほどかかります。
相手に失明の危機や後遺症を残すような事は通常ではありません。顔面に命中しなくても、周囲に漂うエアロゾルを吸引してしまうため、相手がフルフェイス・ヘルメットを着用していても、首などの近くに吹き付けるだけで効果がある。
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【使用期限】
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長期の保存によって性能が劣化する可能性があるため、各製品には使用期限がある。製造から数年程度が一般的であるが、保存状態次第では期限切れ以降も長期に渡って効果は持続するが確実ではないため、期限切れのものは新しく買い替えることが推奨されています。
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【噴射される液剤の飛び方(形状)】
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一般的なものとしては3種類あります。
・霧状タイプ 噴射口から遠くなるほど拡散する拡散するので正確に狙わなくても命中し、効果的が、逆風時には使えず、狭い部屋の中だと自分も吸い込むことになり、近くにいる人にも被害が出るという欠点があります。
・水鉄砲タイプ 遠くまで一直線に飛ぶ(液体)拡散する事が無いので、逆風時にも安心して使用でき、狭い部屋でもに被害が少ないという利点があるが、遠くの目標には命中させにくい。また、相手が複数の場合には対処が難しい。
・泡状タイプ 泡状の液剤が噴射される。霧状タイプと水鉄砲タイプの中間的な性質を持ち、狭い部屋での使用時も自分に被害が出にくいというメリットがあります。霧状よりも噴射範囲は狭く逆風に(ある程度は)強い。
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【噴射距離と使い方】
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タイプによるが、約2~4メートルほど。相手に気付かれない様に催涙スプレーを手に持ち、自分に催涙スプレーがかからないように口元にハンカチを当てて眼を閉じ、風向きを考えて、確実に相手の顔面に向けて噴射。
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【実効SHU】
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唐辛子などの辛さを数値化して表す時の単位。辛さを数字として比較できるものです。ちなみに、ピーマンがゼロSHUで、催涙スプレーの強さもこの単位で効果を客観的に比較できます。
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【注意点】
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催涙スプレーを悪用した異臭騒ぎ等の悪戯・強盗・傷害事件などが報道されることもあるように、犯罪目的の使用や悪戯は厳重に処罰される傾向にあります。またうっかり操作ミスをして噴射した場合でも、犯罪として処罰される可能性が高い。
満員電車内でチカンに催涙スプレーを噴射し、周囲の乗客たちを巻き込んだ事件があった。幸いに、他の乗客に後遺症やケガはなかったのですが、無関係の人への傷害行為として扱われ、警察で事情聴取後、書類送検され慰謝料支払いの処分をう受けています。
また、正当防衛で使用して、相手が無抵抗な状態に陥ったにもかかわらず、必要以上に連続使用して、死亡や重度の後遺障害などの被害が生じさせた場合には、正当防衛ではなく過剰防衛であると判断される可能性もあります。くれぐれも、目的は犯人の行動を封じるため、防衛と護身であると心がけてください。
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主な防犯装備品…スタンガン
スタンガンは、アメリカで開発された暴漢などに電気ショックを与える器具(護身具)です。日本に紹介されたときには「電撃銃」とも呼ばれましたが、定着はせずそのまま原語で呼ばれています。スタン(Stun)は、英語で気絶させる・呆然とさせる等の意味を持ち、これに銃(Gun)をプラスしてスタンガン(呆然とさせる銃)とネーミングされました。
スタンガンは大きく分けて、携帯用の小型タイプと警備用の大型警棒タイプがあります。国内では、通常型の様々なタイプのものが護身用として販売されていますが、購入・所持携帯・使用には許可や届け出等は必要ありません。このため一般の商店や通信販売等で購入できます。しかし、空港・航空機への持込はハイジャック防止法により出来ません。その他公共交通機関により対応が異なるため、所持する上では注意が必要になります。
スタンガンは、スイッチを押すと、内部の電源回路で高電圧が発生、放電された電極部に相手を接触させることにより、神経網を強烈に刺激して、一時的に体の制御が利かなくなり歩行すら困難な状態となります。スイッチを入れて振りかざすと、放電(スパーク)が起こり閃光を発しバチバチッと大きな音がするため、実際に使用しなくても威嚇効果や相手の戦意を喪失させることが期待できます。
その隙に危険から素早く避難しましょう。なお、コミックやドラマでは、スタンガンで人を気絶させるシーンが出てきますが、現実ではスタンガンで気絶することはまずありません。また、電圧は5万~50万ボルトが一般的なもので、電圧は非常に高くても電流は0.8~1アンペアと低めに押さえられている為、殺傷能力はありません。ただ、外国製の製品には相当高電圧のモデルもあるようです。
【使用上の注意】
アメリカでは護身・防犯グッズとして普及していても、日本では防犯ブザーなどと違い、やや攻撃的な護身具として見られるので、まだ一般的には普及していません。
ややもすると、犯罪に使われる危険なものだと思われている節もあります。また、実際のところ、スタンガンを悪用した犯罪が報道されることもありますから。
けれども、あくまでも本来の目的は、犯罪者から自分を守り犯罪を防止するためです。
ただ、使用するに当たり、身体に危険性が無いとはいえ、(使用状況にもよるが)心臓などの危険部への攻撃によるショック死や、相手が転倒し頭を強く打った場合などには過剰防衛と受け取られる可能性が高いともいえましょう。
防犯用途で危険を避けるために用いるには効果的な器具ではあっても、自衛手段ではなく明らかに攻撃目的として利用した場合は、明確な後遺症がなくとも、警察側では傷害事件として扱うため、くれぐれも気をつけ、乱用は犯罪であると心得ましょう。
スタンガンは基本的に相手に電気ショックで恐怖を与え、戦意を喪失させるもので、相手を気絶させるものではありません。しかし、威嚇するだけでもかなりの効果がありますので、スパークや音だけでもかなりの恐怖を与えることになります。電圧(ボルト)が大きいタイプのスタンガン程威嚇での相手の退散が期待できます。(そのぶん、取り扱いにはくれぐれも注意!)
また、成人に対しては重篤な危険が無いとされるスタンガンも、相手が子どもや乳幼児の場合は心停止を引き起こす可能性もあり、自分の子どもにスタンガンを使い虐待した父親は殺人未遂で逮捕されています。スタンガンの電極は金属の突起状になっているため、胸部・のどの周辺・顔・頭・急所などの部位は避けるようにしましょう。
また、高電圧のものは素肌へ直接触れた場合、火傷などをすることもあり、極端に強く押し付けると刺さるなど直接的に怪我をさせる場合があるので注意しましょう。
主な防犯装備品…警棒(警戒棒)

警棒(けいぼう)とは、一般的に腕の長さか、それ未満の長さの棒で、武器または護身用具として使用されています。材質は木製が多いですが、外国製の物には強化プラスチック製や金属製、硬質ゴム製の物などもあり、単純な棒でなくトンファー型の物や伸縮式の特殊警棒もあります。
その機能は、あくまでも棒であるため、相手を大怪我させる危険が少ないので、警官や警備員が常時警棒を携帯していることが多いようです。なお、日本の警備業界では警棒を「警戒棒」と呼んでいます。基本的には護身用具なのですが、使い方によっては相手に致命傷を負わせかねない武器ともなりますので、警官や警備員などは過剰防衛にならないように、首から下の部分を殴るのではなく、叩いたり打ったりして、必要最低限の打撃を与えるようにと指導されています。
現在の日本の警備員は、正当防衛や緊急避難の権利は有るものの、警官ではないので法律の特権は何も無く、普通の民間人と同じなので、警戒棒等の使用は正当防衛や緊急避難が成立する場合に限られます。また、携帯に関しても都道府県により制限や禁止がされている場合もあり、交通誘導時などには携帯してはならないとされているようです。
一般向けに、護身用や防犯用という名目で市販されてはいますが、護身グッズは言い方を変えれば武器でもあり、それなりに殺傷能力もあります。基本的に日本では武器の所持携帯は認められていないので(銃刀法)、いざという時、自分の身を守るためだけに使用すると心得ましょう。また、一般的に警棒は護身用具としては「攻撃力が強すぎる」とみなされる事が多いので(所持するのは合法)できるだけ目立たないように所持するか、決められた場所に保管した方が良いでしょう。職務質問で警棒を指摘された場合は、その時の状況によっては没収の可能性もありますので充分に気をつけましょう。
主な防犯装備品…刺又(さすまた)・防犯盾
【刺又】
刺又は、2~3メートルの柄にU字形の金具がついており、相手の動きを封じ込める武具。江戸時代に作られ、暴れる犯罪者の動きを封じ込めるために使われました。時代劇の捕り物シーンなどで「御用だ、御用だ!」と同心や小者たちに取り押さえられる場面を、誰でも一度は見たことがあるのではないでしょうか。
この先端の金具の部分で、相手の首や腕を壁や地面に押しつけて捕らえます。着物の袖に絡めて引き倒す際にも利用されました。柄が長いので、小型の刃物は勿論、日本刀などを持った相手と距離をおいて、安全に対応することができたからです。また、犯人が柄をつかんで逃げないように、柄の金具に近い部分には鋭い刺がついていました。この刺又を集団で用い、金具部分で叩いたり押さえ込んだりして捕縛したのです。近年、この刺又が防犯器具として見直されています。
大阪の附属池田小事件や、不審者による学校侵入事件が相次いだ平成14年以降、防犯グッズとして教育委員会や小学校が学校施設の防衛力強化に配備するところが増えてきました。凶器を持った不審者が学校に押し入ってきた場合、危険回避・防衛能力のない子どもたちでは到底対応できませんし、数少ないオトナである先生たちに頼るしかありません。現代の刺又は、柄が木製ではなくアルミや強化プラスチックになり、そのぶん軽量化され取り扱いも楽になりました。比較的少人数でも少ない力でも、凶器を持った暴漢に近づかずに取り押さえられる事ができるからです。(教育委員会によっては、刺又と一緒に梯子を使うように指導しているところもあります)
学校だけでなく、子どもの集まる塾や金融機関、福祉施設などにも防犯用品として配備する動きが見られるようになってきました。
【防犯盾】
盾(楯)は、洋の東西を問わず、古代より剣や弓矢から身を守るための武具として生まれ、利用されてきました。現代では警察や機動隊などに利用されてきましたが、近年では新たに古くて新しい防犯具として見直されています。刃物から身を守るためのものなのですが、軽量でさほど大きくもなく、普段はカウンター等にも置けるタイプのものが主流です。防犯ブザーや催涙スプレーが内蔵されたものや、防弾タイプのもの、外見も鏡やパネルタイプのものなどがあり、一見地味ではあっても実効性の高い商品が開発されています。
国の取り組みについて…犯罪対策閣僚会議『犯罪に強い社会の実現のための行動計画』
H15年9月、国は治安の回復を目指して行動計画を策定しました。その序文に『今、治安は危険水域にある。戦後長い間、年間140万件前後で推移していた刑法犯
の認知件数は、最近増加の一途をたどり、平成14年の刑法犯認知件数は約285万件と7年連続で戦後最多を記録し、刑法犯検挙率は過去最低の水準となった』とあります。
この犯罪対策閣僚会議において、治安回復のため以下の3つの視点が重要であると強調されました。
(1)「国民が自らの安全を確保するための活動の支援」
(2)「犯罪の生じにくい社会環境の整備」
(3)「水際対策を始めとした各種犯罪対策」
この(1)には『良好な治安は、警察のパトロールや犯罪の取締りのみによって保たれるものではない。国民一人一人が地域において安全な生活の確保のための自発的な取組を推進することが求められている。』とあり『安全確保のために何かしたいという住民の思いを具体的な行動に昇華ささせていくことが重要である』と続きます。
さらには『自らの安全は自ら守るとの観点から、国民一人一人の防犯意識の向上を図るとともに国民と行政機関が相携えて行動していくことが理想であり、そのための取組を情報の提供や防犯設備への理解の普及等を通じて国が支援していく』となるのですが、もう、この報告書を読む限りでは、さまざまな政策を打ち立てて行政側もガンバルが、国民ひとりひとりも『自らの安全は自ら守る』姿勢が必要だと謳っているのです!
警察の取り組みについて…緊急治安対策プログラム
平成15年8月、警察庁は犯罪の増加に早急に歯止めをかけ、国民の不安を解消するためとして緊急治安対策プログラムを策定しました。
『犯罪の増加基調に歯止めをかけ国民が安心して暮らせる安全な社会の確立』と、『いつ自分が被害に遭うかもしれないという国民の不安感を解消』することを目指し、『警察庁・都道府県警察それぞれにおいて、必要な取組みを緊急かつ重点的に進めていく』と策定されたものです。
この中には、犯罪抑止のための総合対策として、『街頭犯罪・侵入犯罪抑止総合対策の推進』や『深刻化する少年犯罪への対応』『重要犯罪等に対する捜査の強化』『組織犯罪対策と来日外国人犯罪対策』『中国公安部との協力による犯罪対策』『サイバー犯罪及びサイバーテロ対策』などが重点目標として掲げられていますが、その総合対策のなかで『犯罪の発生を抑止することに主眼をおいた取組みが必要』であるとし、地方公共団体やボランティアと連携して『自主防犯活動を促進する、という項目があります。警察官の増員は図るけれども、それだけでは対応しきれないので私たちも防犯意識を持ってください、という意味に解釈されるのですが!
なお、この緊急治安対策プログラムが策定されて4年後、平成19年7月にこのプログラムの総合評価書が発表されていて、それによると平成16年以降は、犯罪認知件数はやや減少、も検挙率も(僅かながらも)上昇しています。警察の努力だけではなく、この間の私たちの防犯意識の高まりと努力も見逃せないのではないでしょうか?
ひとりひとりの防犯意識の高まりこそが、犯罪を防ぐ。
平成19年1月に内閣府が「治安に関する世論調査」実施しました。これによると、現在の日本は、治安が良くて安全で安心して暮らせる国だと思ますかとの問に対し、「そう思う」又は「どちらかといえばそう思う」と回答した人の割合は46.1%でした。
平成16年7月実施の調査結果では、42.4%でしたから、一応3.7ポイント上昇してはいますが、依然として、「そう思わない」又は「あまりそう思わない」と回答した52.5%を下回っています。
また、自分や身近な人が被害に遭うかもしれないと不安になる犯罪(複数回答)については、半数以上の回答者が「自宅に入る空き巣などの犯罪」及び「すり、ひったくりなどの犯罪」を答えています。侵入犯罪や街頭犯罪が、依然として私たちの不安の対象となっているわけですね。
しかし、国や警察ばかりに頼っているのではなく、私たち一人一人が自分で出来る範囲で防げることはあります。防犯グッズを装備したり家庭に侵入犯を寄せ付けないために心掛けたり…。時代がここまで変化してくると、のんびりとした時代と同じ方法論では、もう安全に生活することはできないんだ…と認識する事が一番重要かつ効果的なことかもしれません。
侵入犯の心理と行動パターンを学ぼう…どんな家や地域が狙われやすいか?
地域的には…
①新興個人住宅地やアパートが中心の住宅地 53%
※新興個人住宅地は近隣づきあいが薄い場合が多いため、顔見知りでない人物の出入りも容易なことが理由に挙げられます。そのため、侵入犯も心理的抵抗が少ないようです。
②雑居ビルなどが多い街 33%
③古くからの個人住宅やアパートが中心の住宅地 27%
住居別で…
◆アパート・マンション◆
低層アパート・マンションの被害は1階が69%、2階31%と、圧倒的に侵入しやすく逃亡しやすい1階が狙われやすいようです。また、不特定多数の人が出入りしても怪しまれない公園や駐車場に隣接していると、危険度が高まると言われています。
中層~高層マンションの場合は、被害は1階~5階が7割強ですが、上層階も防犯対策は絶対に必要。マンションは一旦侵入されると密室化するという危険性が高く、性犯罪も多発しているので要注意。住民と同じように階段やエレベーターを利用して上にあがるケースが多く、オートロックの場合も、住民に続いて中に入ったり宅配業者を装ったり、また非常階段が外部から開けら構造だと要注意!上がってベランダから侵入するケースが非常に多いので、鍵をお忘れなく。
◆戸建住宅◆
圧倒的に多い侵入経路は1階で、実に91.6%を占めています。
2階以上の侵入には…
①塀などを足場にして 40%
②雨どい・ベランダの柱などを伝って 30%
③その他 30%
狙われやすい家は
①人通りの少ない道に面し、空き地・空き家・駐車場・公園など、通り抜けしやすい場所に隣接
②繁茂した樹木や高いブロック塀に囲まれている
③ベランダや窓の近くに車庫の屋根があったり、隣家の屋根がある
④窓の近くに電柱や高い樹木がある
⑤侵入の足場になりやすいものが置いてある
⑥昼間、窓のカーテンや雨戸が閉めっぱなしになっている
また、心理的要因として、夜間の街灯や防犯灯などの照明が少ないなど、防犯意識の少ない地域は接近しやすいそうです。また、意外なようですが、ゴミ捨て場もよくチェックされているようです。収集日以外にゴミが出されていたり、分別収集日に別なものが出されていたり、収集されたあとの清掃が不十分な地域は狙い目だとか…。
こういうルールを守らない地域は、全体的に住民のモラルが低く、かつ住民同士の連帯が薄いことから見知らぬ人が居ても我関せずで、余り気にしないので狙いやすいのでしょう。
アヤシイ人・危険な人は外見でわかるのでしょうか?
漫画やアニメでおなじみの『サザエさん』には、マヌケな泥棒がよく登場しています。唐草模様の大きな風呂敷を担ぎ、手ぬぐいを頬被りにして黒いマスクで目元を隠すという、あのスタイルなんですが…。で、大抵は仕事に失敗して御用!になってしまうという…。
残念ですが、今の日本では、そんな古式ゆかしいレトロなスタイルの泥棒は絶滅しました。一目でわかる記号化されたスタイルは絶対にしていません。警視庁生活安全部の資料によると…
①ネクタイ・スーツの会社員風 33%
②よくある普段着(ジーンズ・Tシャツ・ブルゾン等) 24%
③作業着姿の、配達員・工事業者・店員・工員風 24%
④ジャージ(もしくはジョギングやウォーキング)スタイル 20%
風景に溶けこみやすいスタイル…とでも言うのでしょうか。郊外の新興住宅地や古くからの住宅地でも、街中のマンション・アパート地域でも商店街でも決して浮かないスタイルを心がけているはずです。これは国籍に関係ありません。つまり、どこにいても怪しまれない格好をしているのですね。
侵入犯の心理と行動パターンを学ぼう…侵入するまでに
侵入犯は、どれ位の時間がかかれば侵入を諦めるのでしょうか?
①2~5分 51.4%
②5~10 22.9%
③2分 17.1%
④10分以上 5.7%
⑤あきらめない 2.9%
◆一戸建て住宅の留守かどうかの確認方法◆
①玄関のインターファンで呼んでみる 46%
②人の動きがないか、しばらく様子を見る 20%
③表札の名前で電話帳を調べ電話をかけてみる 6%
④窓ガラスに石などを投げつけて反応を見る 6%
⑤昼間、カーテンや雨戸が閉まっている 6%
⑥郵便受けに新聞や手紙がたまっている 6%
⑦その他 11%
◆侵入方法◆
①窓ガラス(テラスや掃き出し窓も)を 破り手を差し込んでクレセントを外す 59.7%
②戸締りしていない箇所を探す 31.9%
③窓の面格子を破る 3%
④工具などで錠前を破壊する 3%
⑤ピッキング 2.5%
⑥合鍵を使う 1.7%
圧倒的に多いのが①の窓破りの手口ですが、補助錠を付けることにより侵入を諦めさせる可能性を高める事ができます。何しろ、侵入時間5分が彼らにとっての勝負!なんですから。また②の戸締りしていない箇所については、浴室の窓などがコレに当たるケースが多いそうです。肩幅が入れば侵入は可能なので、小さな窓といえどしっかり錠をかける事が肝心!
侵入犯の心理や行動パターンを知っておこう
(財)都市防犯研究センターの報告によると空き巣狙いで逮捕された加害者のアンケートがあります。
侵入犯が犯行を諦めたおもな理由(複数回答)
①近所の人にジロジロ見られたり声をかけられたりした 63%
※他の類似アンケートでも、この理由が群を抜いてトップになっています。不審者を見かけたとき「どちらに御用ですか?」と声をかけるか、意識して相手を見るだけでも防犯効果はあるそうです。※警察関係者から聞いた話ですが、車で犯行の下見調査をしていたとき、近所の人が、立ち止まってナンバープレートをじっと見ていたので諦めたというケースもあります。
②ドアや窓に補助錠が付いていた 34%
③犬を飼っていた 31%
④ホームセキュリティシステムが付いていた 31%
⑤窓に頑丈な面格子が付いていた 23%
⑥防犯ビデオカメラが付いていた 23%
このアンケート結果を見てわかるように、防犯のため、何らかの措置が取られていたのが外から見てわかる…というのは強いようです。ウチは防犯を心掛けているんだヨ!という外部へのデモンストレーションとアピールが重要ポイントと言えるでしょう。